withコロナ時代の駐在員

シンガポール政府が厳しい入国規制を導入してから、1年余りが経過しました。

星国内にいる駐在員の方々は、以前のように気軽に海外に出掛けられませんし、隔離期間を考えると、日本に帰って家族や親戚に会うこともできず、寂しい思いをされている方も多いと思います。

私も痛感しましたが、この狭い島のなかに閉じ込められると、思いのほか気が滅入るものです。週末に家族と周辺国のビーチリゾートに遊びに行っていた日々が、遠い昔のように感じられるのではないでしょうか。

ビジネス面でも、仕事が思うように進まず、多くの駐在員にとってモヤモヤを抱えた1年だったと思います。

私自身の経験で、一番困ったのは、せっかく東南アジアのHubであるシンガポールに駐在しているのに、地の利を生かせないということ。

普段なら、星国内にいる取引先の担当者に、昼食ついでに気軽に会うことができますし、頻繁に会うカウンターパートがいれば、様々な情報を入手できるようになります。これが、Teamsやzoomでの打合せになってしまうと、もはやシンガポールにいるのも、東京にいるのも変わらない、ただの「画面の向こうの人」になってしまう。

シンガポールから東南アジアの主要都市であるバンコク、ジャカルタ、KLあたりは1〜2時間で到着できるので、以前までは、気軽に出張を組んで自分なりの情報収集ができたものです。訪問の頻度を高めることで得られる情報、見えてくるものもある。でもコロナ禍ではそれすら叶わず、新聞など公開情報を当たることしかできない。東京にある本社のデスクに座っているのと何も変わらない。

駐在員として、自分の能力のなさを自覚しつつ、フットワークの軽さを武器に、少しでも挽回しようともがいていた日々は楽しかった。でも、それを封じられると。。会社が高い駐在費用を負担して駐在させてもらっているのに、自分はここで何をしてるんだろう、そんな思いが募るのです。

この状況は私だけではなく、またシンガポールの駐在員に限らず、海外で働く多くの方にとって、難しい1年であったと思います。

今後も、Afterコロナの状況が続くとしたら「駐在員像」も変わってくると思いますし、新しい役割を模索する必要があるのかもしれません。

とはいっても、最近は新しいニュースが増えてきています。

国内規制は少しずつ解除され、Work from homeが推奨されつつも、従業員の75%程度が出勤することが認められています。入国規制に関しても、延期されていた香港とのTravel Bubbleが近く再開、オーストラリアとも同様の仕組みが検討されているようです。

世界の感染状況が一刻も早く改善し、様々な規制が解除されることを、そして、テクノロジーの時代であっても、やはりシンガポールの街が活気を取り戻すことを願っています。


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